キッチンの欲しい位置にコンセントが無かったので、新しくコンセントを増設することにしましたので、参考に準備物や手順などをわかりやすく説明したいと思います。
【注意!】
「電気工事士法」により、電気工事士の資格が無ければ作業できません!
あくまで、こういう事ができる、という情報に留めてください。実際に作業する場合は資格をお持ちの知人や業者に確実な施工を依頼することを推奨します。
事前調査
配線の調査
コンセントを増設するには、壁の中に配線を通す通常の施工方法と、配線が壁の外を通る露出配線との2通りがあります。
壁の中に配線を通すには、コンセントに繋ぐ配線を引くことができる場所でなければなりません。
近くにコンセントがあれば、そこから渡り配線することができます。例えば、壁の反対側にコンセントがある場合は最も簡単です。ただし、コンセントの容量はその分岐元のコンセントとの合算になってしまうので、注意が必要です。
また、外壁に面している壁の場合は、中に断熱材や透湿防水シートなどがありますので、配線を引き回すのが難しいです。(外断熱ならもう少しなんとかなるかもしれません。)
近くにコンセントが無い場合の手段は3つ。
・遠くのコンセントから取ってくる
・コンセントに繋がっている配線を見つけて分岐する
・ブレーカーから直接引いてくる
2階の場合は小屋裏に登ることができ、なおかつ取り付けたい位置が内壁(外壁に面していない壁)であれば、小屋裏に来ているであろう配線から分岐して持ってくることが比較的容易にできます。(と言っても、内壁の上には桁(横向きの柱)があり、長いドリルで穴を開ける必要があったりしますので、道具と図面がないと難しいかもしれません…)
1階の場合は2階との間に入ることができれば良いですが、無理な場合は床下(基礎の上)を通すのが早いです。この場合は、床下が冠水する可能性を考えて、配線を基礎のすぐ上に置くことなく、宙吊りにするなどの配慮が必要です。
運良く配線が有れば、このような「差込形コネクタ」というものを使って分岐させることができます。
これは4分岐ですが、3分岐や5分岐など色々あります。
壁の中を通して配線をするのが難しい場合は、壁内配線を諦めて、露出配線にするか、プロにお願いしましょう(笑)
壁の素材の調査
通常の一般家庭の壁は、プラスターボードという石膏でできた壁板の上に、ビニールクロスを貼っています。
ただ、構造用合板(ベニア板みたいなものです)が下地になっている家もあります。作業前に壁の中の構造を良く確認しましょう。
外からわからない場合は、近くにあるコンセントやスイッチのカバーを外すと壁の構造がある程度わかります。カバーは爪で固定されているだけなので、隙間に爪でも掛けてグイッと手前に引っ張れば外れますよ。
建築中にコンセントを付けるときは、壁の石膏ボードを貼る前に、スイッチボックスというものを柱や間柱に固定しておき、その中にあらかじめ配線をしておきます。
スイッチボックスに似た製品にアウトレットボックスというのがありますが、これは配線の分岐などに使うためのボックスで、そのままコンセントが取り付けられるようにはなっていません。(左がスイッチボックス、右がアウトレットボックスです。金属のものやプラスチックのものなど、いろいろ種類がありますが用途は同じです)
そして壁紙まで作業が完了した後に、壁に穴を開けてスイッチボックスとコンセントの本体で壁を挟むように固定します。
後付けの場合は、先にスイッチボックスを入れておくことができませんので、ちょっと準備する資材が変わってきます。開けた穴からスイッチボックスを入れて、柱などに固定することもできますが、簡単に後付けができる専用のスイッチボックスがありますので、そちらを利用する方がいいでしょう。
資材を準備する
コンセントを後付けする場合に必要な資材は以下になります。
- 後付け用のスイッチボックス(埋込パネルボックス)
通販だとこんな感じで購入できます。こういう電設資材は品数がものすごく多いので、探すのに苦労します。
ボックスのような形ではなく、壁とプレートで挟みこむような簡易なものもあります。
ただ、抜き差しするときなどに変に力がかかるとコンセント全体がズレたりしやすいので、ちょっと高いですがボックスを使ったほうが安心です。
- コンセント本体
「埋込ダブルコンセント(WTF1502WK)」など、必要なコンセントを選んでください。
ダブル巾のコンセントを付ける場合は、もちろんスイッチボックスもダブル巾のものが必要です。
- コンセントプレート
コンセントをカバーするためのプレート「コンセントプレート(WTF7003W)」も買う必要があります。
- VVFケーブル
普通の家には配線用のケーブルは無いと思いますので、その場合はVVFケーブルを買う必要があります。
普通のコンセントなら、グレーのVVFケーブル(1.6mm線)の2芯のもので大丈夫です。
アースが必要なコンセント(冷蔵庫、洗濯機、エアコン等)を設置する場合は、アース付きのケーブルにしましょう。
作業をはじめる前に!
作業前には必ずブレーカーを落としましょう。
家全部のブレーカーを落とすと間違いないですが、色々不都合が起こるので個別のブレーカーでもいいでしょう。
ただ、間違いなく落ちていることを確認してください。
壁に穴を開ける
続いて、スイッチボックスが嵌まるように、壁に穴を開けます。
穴を開ける前に注意しなければならないのは、穴を開ける壁の下に他の電気配線などがないか、柱や間柱などがないかどうか、です。
柱があるとコンセントは付けられませんし、のこぎりでゴリゴリしている時に電気配線などに接触すると一大事です。ブレーカーを落としておくと共に、慎重に作業しましょう。
壁の中に柱がないことを確認するためには、専用の道具があります。
下地センサーや、下地探しなどです。
センサーは僕も持っていますが、壁に穴を開ける必要が無いのが良いですが、あまり精度が高くない印象です(笑)
下地探しは、細い針を差し込んで確認する道具なので、どうしても小さな穴があいてしまいますが、間違いはありません。
慣れれば、コンコンと叩くと中に柱があるかどうかは分かりますし、もし住宅の図面があれば確認するという手もあります。
穴を開けてしまってから塞ぐのはできませんので、慎重に…
さて、上記の問題点をクリアできれば、正確な位置を決めて穴をあけていきます。
まず、こんな感じで開ける大きさを記しておきます。
後付け用のボックスの場合、穴の大きさがピッタリである必要があるので、綺麗に開けなくてはなりません。
プラスターボードはカッターナイフで十分切れます(ちょっと手間はかかりますが)
壁が構造用合板の場合は手間がかかります。まず壁にドリルで穴を開け、そこを起点に先の尖った細いのこぎりでグルっと開けていきます。
ジグソーがあれば、このような作業は楽ですが、無い場合はそういう作業用ののこぎりがあります。「引き回し鋸」というのが便利かと思います。安いので一本持っていると良いかもしれません。
うちは楽チンなプラスターボードだったので、カッターナイフでさっくり作業をしていきます。
あらかじめ記しておいた線にブスッとカッターを突き刺して、ゴリゴリ開けていきます。粉が落ちるので後で掃除は必須です。
穴が開いたら続いて、VVFケーブルを引いてきます。
今回は、すぐ壁の裏に別のコンセントがあったので、そちらから渡り配線にします。その場合、合計の容量が定格に収まるように使用することを忘れないで下さい。
ボックスを固定する
開いた穴にボックスを奥まで入れ、対角の角にあるネジを締めていくとボックスが壁に固定される仕組みになっています。
後は、VVFケーブルをコンセント本体に接続します。
接続は1cm程度ケーブル被覆を剥いて、コンセント裏の穴にグイッと奥まで差しこむだけでです。
白と黒の場所は決まっていますので、間違わないように。「W」と書いてある方が白(接地側)です。
二箇所穴が有る(つまり合計4つの穴)のですが、どちらでも大丈夫です。片方は、更に次のコンセントに渡すための穴で、中でつながっています。
奥までキッチリ差しこめたら、コンセントをネジで固定します。
どちらが上かは書いてありますので、間違わないようにしましょう。
左右に微調整できるようになっていますので、まっすぐになるようにしてネジを締めます。
次に、プレートカバーの台座を取り付けます。
これもネジで固定するだけです。
最後にプレートカバーをパチっとはめ込めば終わりです。
作業自体は、やり方を知っていれば10分~20分もあれば十分できますよ。
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この記事は無資格者に対して情報提供を行っていることが不適切とのご意見をいただきましたので削除を予定しています。ご指摘ありがとうございました。
残してほしい旨のコメントも頂いておりますので、記事はそのままにしたいと思います。
くれぐれも無資格者の工事は避けるようよろしくお願いします。
素人ですが、電気工事士の免許を取得しました。実技の練習はしましたが、実際に自宅を施行した事はありませんでした。実際のやり方を知るためにも貴重な情報なので削除しないでいただけますでしょうか。免許が必要なことを記事の始めに記載すれば問題ないと思います。よろしくお願いします。
私も、電気工事士の免許を取得している素人です。
大変参考になる記事なので削除されない事を希望します。
私も電気工事士の資格を持つ素人です。削除されないことを希望します。
私も電気工事士の資格は取得しています。
ですが、主な工事業務は発電機から催事用に仮設の電気配線を行う為に必要だったので取得しました。
このような住宅の屋内配線の実例は私のようなある種、特殊な電気工事士にとってとても参考になるものだと思います。
記事を残して頂きありがとうございます。